ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、多くのウクライナ人が難民となって周辺諸国に避難しています。
日本でも、日本にルーツを持つウクライナ難民を受け入れたとのニュースが流れていたことを記憶している人もいるのではないでしょうか。
日本は地理的な関係で、ウクライナ難民の受け入れはまだ少数ですが、ウクライナ周辺の国では多くのウクライナ難民を受け入れています。
多くのウクライナ難民を受け入れている国の一つに、モルドバが挙げられます。
そこで本記事では、モルドバのウクライナ難民に対する支援について詳しく紹介します。
1モルドバが10万人のウクライナ難民を受け入れる
現在、ウクライナ難民を受け入れている主な国には、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、モルドバが挙げられます。その中でも、モルドバは一番最初にウクライナから難民を受け入れました。
モルドバは他の4ヶ国と比べると難民の受け入れ数こそ少ないものの、人口10,000人あたり約1,400人と、人口の割合から考えるとかなり高い割合で難民を受け入れています。
この数字から、世界的に見てもモルドバの難民受け入れの貢献度は大きいと言えます。
現在までに、すでに36万人以上のウクライナ難民がモルドバとの国境を通過しました。そのうちの約102,000人がモルドバ 国内に留まって生活しています。
ウクライナ人男性は、国内に留まって抗戦に参加する人が多いため、母親が子供を連れて難民になることが多くなっています。難民の中には小さな子供を連れた女性が多く、モルドバ 国内で生活する難民の半数にあたる、約49,000人が子供になっています。
2モルドバは難民にどんな支援をしているのか
モルドバでは、ウクライナ難民に対して次の支援を行っています。
・難民移動の支援
・労働の支援
・教育の支援
・住居の支援
・国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の支援
それぞれ詳しく解説します。
難民移動の支援
ウクライナ難民の中には、モルドバを通過してルーマニアに向かう人もたくさんいます。
モルドバを通過してルーマニアに行きたい人に対しては、モルドバとウクライナの国境から、ルーマニアのパランカやヤシまで無料でバスを手配しています。
また、モルドバで生活したい人に対しては国境から収容施設までバスで無料で運んでくれます。
ウクライナ難民は移動の資金も限られているので、移動の支援は非常に貢献度の高い支援の一つです。
労働の支援
モルドバの労働市場は難民に開放され、労働許可証なしで直接雇用に就いて2カ月間働くことができます。
労働支援により、ウクライナ難民の社会復帰と生活の自立が促されています。
教育の支援
難民の中には、学齢期の子供も多く含まれます。そのため、難民の子供の就学支援も必要です。
モルドバで生活する難民の子供に対しては、学業の支援も行われています。
本来受ける予定だったカリキュラムに遅れないように、モルドバの学校に通い、授業に参加することが可能になっています。
住居の提供
難民の生活と言えば、難民キャンプでテントを張っての生活を想像する人もいるのではないでしょうか。
しかし、モルドバで生活する難民に対しては、屋根のある建物を住居として提供しています。
モルドバには107の難民収容施設があり、9,000人の難民を収容可能です。収容施設にはホステルや廃校になった学校が利用されており、最低限の設備の中で生活できるようになっています。
しかし、現在は46%程度しか使用されておらず、住居の提供だけでは生活できないのが現状のようです。そのため、難民の多くはモルドバの親戚や、難民を受け入れている一般家庭で生活するケースが多くなっています。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の支援
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によって開始された難民支援プログラムはすでに実施されており、各ウクライナ難民は月額2,200レイ(日本円にして月額約15,400円)の手当を受け取ります。
また、世界食糧計画の支援を受けて、難民を受け入れているモルドバの家庭は、月額3,500レイの支援を受けます。
※1レイ = 7円にて計算(2022年6月現在)
3難民を受け入れるモルドバへの各国の支援
モルドバでは多くのウクライナ難民を受け入れており、手厚い支援が行われています。
しかし、難民支援には当然のことながら多額の資金が必要になります。
その費用は、一日あたり100万ユーロとも言われています。また、難民がモルドバ で生活するには電力など、多くのライフラインも必要になります。
これら難民支援にかかる諸費用を、モルドバだけで賄うのは困難です。
そこで、ウクライナ難民を受け入れるモルドバに対し、世界中の国がモルドバを支援しています。
2022年4月5日には、ドイツとフランスが中心となって、モルドバのための支援プラットフォームを作るための会議を開催し、モルドバのために約6億6千万ユーロを集めることに成功しました。
また、ウクライナはモルドバとルーマニアに、電気を積極的に輸出することに合意しています。モルドバ やルーマニアへの電力の輸出量増大により、ウクライナ経済への支援につながったり、ウクライナ難民の生活にかかるライフラインをまかなえるようになりました。
このように、世界中の国々がウクライナ難民を受け入れるモルドバを積極的に支援しています。
当サイトを運営しているグレイス・インターナショナルパートナーズも、売り上げの一部をモルドバのウクライナ難民支援のために寄付しています。
4ウクライナ支援の輪を世界中に広げよう!
モルドバは世界に先駆けてウクライナ難民を受け入れた国であり、現在も継続して難民支援を行っています。
そして、モルドバの難民支援に賛同する国も多く、世界中からモルドバへの多くの支援が集まっています。
今後もウクライナの隣国であるモルドバの役割は重要なため、モルドバへの継続した支援が必要になります。
日本に住む私たちも、どんな小さなことでもいいので、ウクライナ難民や難民を受け入れるモルドバに対してできることを考えるのが大切です。