モルドバは音楽界にも、多くの偉人を輩出しています。
その中の一人に、エフゲニー・ドガ(Eugen Doga)がいます。彼はモルドバが生んだ偉大な作曲家で、これまでに多くの楽曲を世に送り出してきました。
そこで本記事では、エフゲニー・ドガの功績や半生を紹介します。
目次
1エフゲニー・ドガとはどんな人物?
エフゲニー・ドガ(Eugen Doga)は、モルドバ共和国出身の作曲家です。
エフゲニー・ドガが作曲した楽曲のジャンルは、映画音楽、バレエ音楽、オペラ、ワルツなど、多岐に渡ります。
また、1980年にモスクワで開催されたオリンピックの開会式と閉会式で使用された楽曲も、彼が手掛けたものでした。
エフゲニー・ドガの功績に敬意を表して、モルドバでは2007年と2017年(70歳と80歳の年)をエフゲニードガの年と制定しました。その年は彼の栄誉を讃え、キシナウの主要な歩行者専用道路は「エフゲニードガストリート」と呼びました。
この他にも、旧ソ連やモルドバの国家賞、キシナウの名誉市民の称号など、様々な賞や称号が彼に与えられました。
また、世界知的所有権機関(WIPO)は、エフゲニー・ドガの音楽における卓越した功績を認め、2007年に表彰状を授与しました。
このようにエフゲニー・ドガは、モルドバだけでなく世界からも認められた作曲家として、モルドバ人から愛されています。
2エフゲニー・ドガの半生と功績
1937年3月1日、エフゲニー・ドガはモルドバ自治ソビエト社会主義共和国(当時)のモクラ村で生まれました。
エフゲニー・ドガの幼少期は、モルドバの歴史的な大変動の時期と一致します。そのため、幼少期から戦争、飢餓、貧困を経験しました。
地元の学校で7年間過ごした後、彼は友人たちと一緒にキシナウの音楽学校に入学しました。
彼は音楽学校入学まで専門的な教育を受けていませんでした。そのため、入学時は周りの生徒からは学業で大きく遅れをとっていました。
しかし、彼の生まれ持った才能と勤勉さのおかげで、すぐに周りの生徒に追いつき、チェロを弾けるようにまでなりました。
また、作曲に必要な記譜法も、この時期に習得しました。
そして、音楽学校卒業後、今度は高等音楽院でチェロを専門に学びます。ちなみに、将来のオペラスターである、マリアビエシュも同時期に在籍していました。
キシナウの音楽院を卒業後、モルドバソビエト社会主義共和国国家委員会のチェロ奏者としてテレビとラジオで演奏したり、キシナウの音楽大学「ステファンネアガ」 で教鞭をとりました。
そして、1967年から1972年まで、モルドバ文化省のレパートリー編集委員会に所属しました。
その後、彼は1963年についに作曲家としてデビューします。
この1963年の作曲家デビュー以後、多くの音楽作品、劇場の楽譜、映画音楽(サウンドトラック)を世に送り出すことになります。
作曲家としても活躍したエフゲニー・ドガでしたが、作曲に加えて、コンサートでの演奏と音楽を通した社会貢献事業も積極的に行ってきました。
3コンサート活動
1972年以来、エフゲニー・ドガは旧ソビエト連邦の各地や海外でコンサートを開催しました。
彼のコンサートの人気は高く、どこの国でも大きいコンサートホールで開催されました。
そして、彼が作曲した楽曲は、モルドバやロシアの交響楽団、アカデミック合唱団、ジョージ・エネスク・フィルハーモニー管弦楽団、モスクワ室内管弦楽団、レニングラードコンサートなど、有名な楽団やコンサートで演奏されました。
4音楽を通した社会貢献事業
エフゲニー・ドガの重要な功績の一つに、音楽を通した社会貢献事業もあります。
エフゲニー・ドガの創造的な楽曲を通してコンサートの質を向上させたり、チャリティーコンサート、学生への講義も精力的に行いました。
また、数多くの音楽と映画のコンペティションやフェスティバルで、審査員も努めました。
2012年には国際基金「ドミナンタ」を設立します。この基金は、作曲家の活動を支援することが目的の基金です。
2014年1月18日には、サロン「エフゲニー・ドガ」がオープンしました。このサロンは、志の同じ作曲家がサロンに集まり、互いに高め合いながら活動することで、よりモルドバの音楽業界を発展させることが目的で作られました。
5エフゲニー・ドガの現在
現在エフゲニー・ドガは、家族と一緒にキシナウとモスクワを行き来しながら生活しています。
驚くべきことに、彼は85歳になった今でも音楽活動や音楽を通した社会貢献事業も続けています。
同じ志を持った仲間と小児病院や病院でチャリティーコンサートを開催したり、ロシアやモルドバ各地の音楽フェスティバルに参加しています。
そして、彼の半生を描いたドキュメンタリー映画「エフゲニー・ドガ」は、ルーマニアの国際独立映画祭「HERCULES.ro」で大賞を受賞しました。
6エフゲニー・ドガの楽曲
前述してきたように、エフゲニー・ドガは様々なジャンルの楽曲を生み出してきました。
その内訳は、100曲以上の器楽および合唱作品、13曲の演劇曲、200曲以上の映画音楽、260曲以上の歌とロマンス曲、70曲以上のワルツのための楽曲でした。
彼はプロの作曲家であるならば、あらゆるジャンルの音楽を書くことができなければならないという考えを持って活動しています。
特にオペラ「愛の対話」の楽曲は、モルドバの詩人ミハイ・エミネスクの詩からインスピレーションを得て作曲したと言われています。
エフゲニー・ドガが作曲した主な楽曲
映画音楽「ジプシーは空に消えた」
映画音楽「ジプシーの女王」
映画音楽「狩場の悲劇」
映画音楽「アンナ・パブロワ」
バレエ「ルセアファルル」
バレエ「ヴェナンシア」
バレエ「クイーンマーゴット」
オペラ「愛の対話」
ワルツ「薔薇のワルツ」
7モルドバの作曲家、エフゲニー・ドガの楽曲を楽しもう!
エフゲニー・ドガはモルドバが生んだ偉大な作曲家です。
映画音楽に始まり、バレエやオペラなど、様々な分野の楽曲を世に送り出してきました。
そして、今もなお彼の楽曲は世界中で親しまれています。
日本でもYouTubeやSpotify、Amazonミュージックなどでエフゲニー・ドガの楽曲を聴くことができます。
興味のある人は、ぜひ稀代の作曲家エフゲニー・ドガの楽曲を楽しんでみてください。